星の琴線*きおくのきろく

ときに濃厚に、ときにふんわりと。感じたまま見たままに綴る空想的ノンフィクション。

2019-02-15から1日間の記事一覧

彼が想い出せないもの

彼の恨みと怒りは治まることがなかった。 毎日欠かさず何キロも歩いて、急な岩ばかりの山を頂上まで登り、天を仰ぎ唾を吐いていた。 山を降りると、泥でできた貧相な家に籠り誰とも関わらず生きていた。 彼は本意でなかった経緯で今があることを深い部分に刻…