星の琴線*きおくのきろく

ときに濃厚に、ときにふんわりと。感じたまま見たままに綴る空想的ノンフィクション。

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

春の花のように

君もわたしも 消えるだろう たたまれた宇宙から 永く 瞬く間の 時空を経て また 静かに生まれ飛び立つ蝶の姿。 それはもう、 わたしたちとは云い難く 今までとは違うのだ。 そう言って一足先に消えた彼から ようやく午後の穏やかな光と共に届けられたものは…

ハートの装置

彼は説明を続けた。 ハート自体が 次元を越えて繋がる為の装置だ。 製造元の意図に基づいた 多種な機能が装備され越えない為の制御装置も搭載されている。 これを使いこなす為のマニュアルは、どのルートで装着したかにより違ってくる。大きく分けて二つのル…

触れたら

彼女が好きな場所は 触れたら 懐かしさと 朝陽のような温かさに涙が溢れてしまう場所 律動が 調べとなりそれ以降へと波及していくセカイ 柔らかな絹のような波が 寄せては返し 宇宙の呼吸のように 満ちていくセカイ 花のように 現れ揺れては香り 寄り添い在…

彼が想い出せないもの

彼の恨みと怒りは治まることがなかった。 毎日欠かさず何キロも歩いて、急な岩ばかりの山を頂上まで登り、天を仰ぎ唾を吐いていた。 山を降りると、泥でできた貧相な家に籠り誰とも関わらず生きていた。 彼は本意でなかった経緯で今があることを深い部分に刻…

ルール

ルールとして アトラクションを楽しむための ルールとして記憶を閉じて 投下した。 そう、あくまでも沢山ある「ルール」のひとつであり自分に「必要」であるかどうかは 別の話し。 また、アトラクションを楽しむことを目的としない場合もこれに沿わなければ…

隣り合うふたり

垣間見た、自分とソースを同じくする欠片のセカイはこちらと同じ時間軸のような感覚で存在していた。 やがて、自分という認識は無いが確かに同じ欠片同士である彼も こちらが見ていることに気づいたのだった。 アイコンタクトならぬ ハートを通じて交わす会…

聖域

優雅に装飾された何本もの大きな柱に支えられた白く巨大な建造物の前の階段に彼は座っていた 建物と同じく彼にも色は無く その目元には 優し気な光が射してはいるが一見すると 冷たく感じるような面立ちと空気感である。 この場所にはあらゆるセカイの記録が…

整える時間

特別よく何かをしたようだ という時や 大きな調整が入る時に微睡んでいると 宇宙船の中に居ることがある。 という感覚になる、という理解でも。 今回は、白いコクーンの中で休んでいたようだ。 宇宙船の中の部屋は(もっと他の表現の方があっている気もする…

重なり共に動くセカイ

自身の内側深く降りていくとき いくつもの層を感じることもできるだろうけど そこも気にとめず ただゆったりと静かに その空気感を撫でながら 深く深く入っていく。 微かな温もりを捉えたら それは 内から外から と セカイを拡げ 時にさり気なく 時に圧倒的…

ハイリスクハイリターン

そこに行こうと思ったのは 決して好奇心からではなかった。 それには、リスクがあまりに大きすぎて割に合わない。 自分たちのしでかした後始末。 端的に言えば、そんなところだ。 ここに来るずっとずっと前の段階 「ソウル」といういれものを纏ったときに起…

プロテクト

例えば、自分の身を守る時には 幾通りもの所作が 「詩」 のように織り込まれている。 時には、 魔物と呼ばれるような異なる種族の侵入を拒むとき、 彼らの好物と心地よい暫しの眠りが用意されたり 時には、 自分を囲む光に「自分の個性」の賛美が縫い止めら…

シャボン玉に乗って

自分の周りを シャボン玉のように透明で薄い膜のようなものが囲んでいる そこには あらゆる景色が映し出された 2次元的な映像のようでもあり臨場感ある 4D画像のようでもあった。 どちらにしても 自分が居るのはその景色の中ではないということがわかって…

透過させる微細な響き

城の中か船の中なのか 壁いっぱいの大きな窓も柱も 高く 見上げた先は 天井の 小さな光が瞬く碧の中に消え足元にも 同じように 深淵な藍の世界を湛えている そんな大広間があった 自身の純度を更に高め澱みない響きを 内に多次元のゲートを透過させ また 空…

星を見る少年

その少年は星を見ていました。 星を見て そこから送られてくるエネルギーを管理するのです。それが彼の仕事でもありました。 かつて天上にある星々は 少年のように地上に住むものにとって身近にあり実際にサポートしてくれるものだったのです。 そして一方的…