星の琴線*きおくのきろく

ときに濃厚に、ときにふんわりと。感じたまま見たままに綴る空想的ノンフィクション。

風の中の古の装置

この星での調査も 


今までにこなしてきた多くのものと差異は無く、 


なるべくその星に適したカタチで 


なるべく少ない人数で(今回は2名 )降り立ち、


調査しデーターを持ち帰るというものだった。

 


相棒と、幼い姿でその役目をこなしているうちに


彼はあることに気づいたのだった。

 

ここはどこか、知っている今はもう無い星と似たところがある。

 

豊かな可能性の中に、


今は片鱗すら見せなくともしっかりと根付く


危うさが確かに存在していた。

 

だから彼は決めた。

 

それらを調和の中で回避していく助けとなる装置を


できる限りの中で設置して行こうと。


そして、たまたまその装置は彼の得意としているものでもあった。

 


相棒を見送り、その星に残る彼。


しかしそこには、悲壮感も使命感もなく、


何故なら、


悲壮に感じるものが実際に何一つ無かったからなのだが。


気づいたものがそうしたいと思い、


また為し得るものがあるならすればいい。


それだけのことだった。

 

 

彼は、その地に住まう精霊たちの協力の元、


適した場所を見つけ、


装置を設置してはまた次の地を探して旅をする。

 

そんな日々を、送った。


やがて、幼い姿は青年となり、


そして更に時を経て、微かな幻のようになり、


「ああ、そろそろタイムリミットだな」

 

と思う意識の中で次第に解けて行き、


彼はその星の流れの中へと溶けていったのだった。

 

 

その後、彼の相棒がこの地を訪れ


彼の核をみつけ持ち帰り、母船にて


一呼吸のうちに元の姿に戻り


再び仲間に迎え入れられたことも付け加えておこう。

 

 

 

 

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