星の琴線*きおくのきろく

ときに濃厚に、ときにふんわりと。感じたまま見たままに綴る空想的ノンフィクション。

2019-01-20から1日間の記事一覧

ヒーラー

白い砂 細かい泡に縁どられた水際に 彼は立っていた 足首に茶色い標識が巻き付いている他は 何も身に着けていない 彼は一日に数回この浜を訪れ 身についた 不浄というにはまだその予感ほどの 汚れのようなものを洗い流すのだった 華奢でありながらも長身で …

繋がるもの。同期し動くもの。

この世界では ソラを飛ぶ事は容易だった。 それができるものにとっては、だが。 意識を、ほんの数ミリ動かす。いや、その必要すらない。 飛びたい。そう思う前に、既に身体はソラの中にあった。 彼は、 浮き上がった一瞬の静けさが好きだった。 其処には、平…

風吹く懐かしの丘の上で

そこは 一時的保護の為に用意された場所だった。 自分はどれほど眠っていたのか。 随分と永いときが流れたようだ。 そのままでは彼と云う欠片は、 全体の中から消滅してしまう程のダメージを受ける事が懸念され、 打開策が出るまで凍結されていたのだ。 そう…

律する者の

彼女の欠片たちは押並べて、その人生を一族の為に捧げていた。 それは時に、統べる者の責務であったり、 仕える者の義務としてであったりとその立ち位置は都度変化したが、 結局のところ彼女の犠牲の上に彼女の在する集団が消滅を免れたり、延命されたりした…

風の中の古の装置

この星での調査も 今までにこなしてきた多くのものと差異は無く、 なるべくその星に適したカタチで なるべく少ない人数で(今回は2名 )降り立ち、 調査しデーターを持ち帰るというものだった。 相棒と、幼い姿でその役目をこなしているうちに 彼はあること…