星の琴線*きおくのきろく

ときに濃厚に、ときにふんわりと。感じたまま見たままに綴る空想的ノンフィクション。

風吹く懐かしの丘の上で

 

そこは 一時的保護の為に用意された場所だった。

 自分はどれほど眠っていたのか。

 随分と永いときが流れたようだ。

 

そのままでは彼と云う欠片は、

全体の中から消滅してしまう程のダメージを受ける事が懸念され、

打開策が出るまで凍結されていたのだ。

 

 そうして長い時間見守られようやく解放された彼は、

かつて幾度となく立った丘のホログラムの中で、

心地よく穏やかな風を感じていた。

 

 
彼が居た世界は、あらゆる世界の歪みが集積され、

そこからまたその歪みと混沌が

各世界へと運ばれて行くようなところだった。

 


つまり、低位、高位クリエーション界の皺寄せが

この中位クリエーション界に押し寄せていたのだ。

 


勿論、同じ次元においてもその渦中に行くのかどうか選べるのだろうから、
彼が望んだ結果と言えばそうなるのだろう。


しかし物事は、どこであろうとシンプルではあっても単純では無いもののようだ。

 


その中で彼は、自らも囚われの中へと沈み込み、
最早浮かんで、新しい息吹を取り込むことなどできなくなっていた。


そんな 存在のなんと多いことだろう。

 


しかし、

ともかく、自分はこうして深く暗い水面から顔を出すことができたのだ。

 


後は、次に向かう世界を決めて
そこに降り立つだけだ。

 


それには、もう少し、

失くしていた 自身の鼓動をもう一度深く味わい刻むことに専念しよう。

 

 
相変わらず、

風は優しく頬を撫で彼の心をざわつかせるのだし。


希望という香りを連れて。。。。

 

 

 

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