聖域
優雅に装飾された
何本もの大きな柱に支えられた
白く巨大な建造物の前の階段に
彼は座っていた
建物と同じく
彼にも色は無く
その目元には 優し気な光が射してはいるが
一見すると 冷たく感じるような面立ちと空気感である。
この場所には
あらゆるセカイの記録が保持されており
彼はここの管理人のようだった。
管理人といっても
彼が特段何をするというわけでなく
いわば、彼がここの「鍵」であり、
建物自体が彼であるともいえた。
白く静謐な空間で
「 そしてここは
あなたにとっての聖域でもあるのだから
時々は来るといい 」
彼は涼やかに微笑んで、そう云っていた。
あれから随分と長く行っていなかったと
思い出したのは ついさっきのこと。。。。。