春の花のように
君もわたしも 消えるだろう
たたまれた宇宙から
永く 瞬く間の
時空を経て
また 静かに生まれ飛び立つ蝶の姿。
それはもう、
わたしたちとは云い難く
今までとは違うのだ。
そう言って一足先に消えた彼から
ようやく午後の穏やかな光と共に届けられたものは。。。
わたしのエッセンスは
大海原に流れ出す川の水の中の砂金のようなものだ。
君の傍を横切ることは稀だろう。
それでも、わたしはあらゆる気配の中に在って
君を片時も忘れずに 抱き続けている。
君を取り巻く世界ごと抱き締めている。
数多に届く不可視な光線の ひとつとして
わたしは 君の元へと降りて行く。
繰り返し繰り返し
君の揺れる眼差しの先へと 降りて行く。
。。。春の花のように
儚げな香りがしたのだった。