星の琴線*きおくのきろく

ときに濃厚に、ときにふんわりと。感じたまま見たままに綴る空想的ノンフィクション。

動く

この領域は、全体の中の管制官のようなものだ。

そしてそこと多くの時間を交わすのかどうかというのは
個体の性質から発するベクトルと、その瞬間の個体の状態、
個体の居るセカイの状況を掛け合わせたところから決まって行く。

 

 

その管制官的領域の彼は今、お気に入りの快適なソファーに横たわっていた。


胸の上には、1ページも読んでいない本がうつ伏せに広げられている。

ここのところ、彼の仕事はそう多くはなかった。
これまでのような多岐に渡る活動を終え関わる案件が激減していたし、

セーブもしていた。
種を蒔いたら、後はごくたまに様子を見るくらいしか用はなかった。


ところが久しぶりに大きな動きがあるらしい。
その動きは、即こちらにも影響するようなものだった。


個体を取り巻くセカイそのものが、大きくうねる。
それに合わせるように、彼の持ち場も大幅な離脱を試みることになりそうだった。

 

 

ということで、

俺はあと少し、ここでゆっくりと下準備のひと休みでもしておこう。

ということからの、快適なソファーの上での瞑想タイムとなっていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

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